

父の名をもらったおでん屋『次郎』を営む砂子。彼女につられて通うおじさんたち。その中に人一倍砂子に思いを寄せる人がいた。しかしその男には妻が。いけないとはわかっていても惹かれ合う二人。そこへ男の妻が…。
向田邦子原作『きんぎょの夢』。それを舞台に表現する演出家と俳優。この舞台では 演出家石井ふく子さんの父伊志井 寛さんとの思い出が演出に活かされている。劇中ヒロインが店に飾る父の遺影、それは父が娘に残した贈り物によって ヒロイン砂子のお父さんと石井さんのお父さんを 結びつける 役割を果たしていたのだと思う。それによって架空の小説が生々しく我々に語りかけてくるように感じた。
題材は浮気。人間の内なる矛盾を感じながらも しかしどこかピュアでつつましい感じがした。コミカルな登場人物のキャラクター設定も全体に明るい雰囲気を作りだしていた。
もう一つおもしろかったのは、女優の性格が役と溶け合って、まるくうまい具合に収まっていたことだ。役の性格と演じる本人の性格がセリフや振る舞いにうまく活かされていたと思う。女優インタビューをみてそう感じた。
NHKオンデマンドで観られるようです。是非!